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どこまでも、遠くまで、行ってしまえ


by massy298
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横浜国際フォトジャーナリズムフェスティバル

学会のついで、もしかしたら学会こそがついでだったかもしれない。

DAYS JAPANっていう雑誌が主催している横浜国際フォトジャーナリズムフェスティバルに行ってきました。
前からチェックしてたイベントとはいえ、フォトジャーナリズムっていう分野に特別深い思い入れなどがあるわけではないし、ただ報道写真の言葉抜きでとてつもないインパクトを伝えるパワーに学ぶところは多いんじゃないかな〜っていう軽い気持ちでした。

DAYS横浜国際フォトジャーナリズムフェスティバル2009
DAYS JAPAN 広河隆一責任編集 世界を視るフォトジャーナリズム月刊誌

実際行ってみてどうだったかというと・・・結論は「行ってよかった」です。
でも平日に行って良かった。人がすごく少なかったから。鏡で見たわけじゃないが、多分すごい表情だっただろうなと思うから。
それくらい色々感情が駆け巡ったし、そうなるくらいの衝撃を受けました。

このイベント『「地球の上に生きる2009」戦争・命の尊厳・光ある未来』っていう名前なんです。
誰もが見聞きしたことあるようなイラク戦争であったり四川省大地震はもちろんだけど、それ以外でも世界各地で起きている紛争・疾病・環境破壊っていうものを捉えた写真がメインです。それと共に、もっと身近なところで起きている悲劇についてもカメラは捉えていました。報道写真という関係上ショッキングな事象を写したものが多いし、人々に与えるインパクトもその種の写真の方があるのは当たり前だとわかっていても、息が苦しくなっていくのを止めることはできなかった・・・と思う。「なんで人間ていんの?」って毒づきたくなったし、『風の谷のナウシカ』じゃないけど一度文明なんて滅んでしまえと本気で思った。

体は埋もれ顔だけが見える空爆の犠牲者となった少女の遺体・ミャンマー軍の凶弾に倒れた長井健司氏・皮膚越しの骨格が完全に浮き彫りになるほどにガリガリのエイズ末期患者の背中・スターリンの像が虚しく立つ、チェルノブイリ原発事故で廃墟となった村・安い労働力として搾取され続ける少年・エゴで飼われエゴで殺される、保健所に連れて行かれた犬や猫・ピンクのシャツが映える、若い女性ゲリラ兵の笑顔・理不尽に殺された親しい者の亡がらを抱えて泣き叫ぶ多くの顔・・・

何が正しいっていう答えはないけれど、やっちゃいけないことっていうのはどう考えたって明白じゃないかと、それは思う。

そして、猫とおばあちゃんの日常を切り取った写真や大自然の中で生きる動物達の写真に、「好きなもの」とか「嫌いなもの」っていうテーマで子供達がインスタントカメラで撮った写真に写った純粋さに、どんなことがあっても決して絶やしてはいけない何かを教えてもらった気がする。

知らなければそれで別に構わない。どうせ遠い空の下の出来事。テレビの中の出来事。自分には全然関係ない。
けれど一度知ってしまったら、見てしまったら、もう目をそらすことはできないし、目をそらしちゃいけないようなことだと思います。
だって、知らなきゃ楽だよ?
iPodが性能アップして値段も下がった!買っちゃえ〜っていう時に「いや、この値段の背景には低賃金で長時間働かされる途上国の人たちがいる、汚されていく緑があるんだ・・・」なんて思うことが無いんだし、そう思う自身に対して「それは心から思っているのか?だったらiPodが1台10万でも文句言わないよな?それともよくあるパターンで単に、『悲劇的なことに心を痛めている自分』に酔いしれているだけか?」なんて更に色々考えずともいいわけですからね。

・・・なんて良くも悪くも色々考えが巡ってゴチャゴチャになりながら建物を出たら、青空と秋の風が気持ちよくって、虚しくて、明るくて、静かで、嬉しくて、寂しかった。
それくらい天気がよかったんだ、っていうか久々に太陽の下を歩いたんだ。Viva研究者生活www
by massy298 | 2009-10-02 21:49 | 雑感o(´^`)o