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どこまでも、遠くまで、行ってしまえ


by massy298
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たまには中身のありそうなネタをやらんと・・・

試験勉強の合間をぬって読書です。でもその試験勉強はH2を最初から読み直す合間をぬって行われていたりします。

『生命倫理学講義-医学・医療に何が問われているか-』
日本評論社
斎藤隆雄[監修]
神山有史[編集]

徳島大学医学部の生命倫理学という講義を整理して出版したもの。一人の講師が授業を行うのではなく、10人の講師が交代でそれぞれの分野から生命倫理へのアプローチを講義しています。

こんな感じ
1:社会的存在としての人間から医療行為を見る〜求められる豊かなイマジネーションと感性〜
2:医療過誤と患者の権利〜医療事故相談センターの実践から〜
3:インフォームド・コンセント〜法と判例理論からの検証〜
4:臓器移植とヒト革命〜文明としての医療テクノロジーの行方〜
5:遺伝子改変植物と生態系〜「人間一人勝ち」の世界に未来はあるか?〜
6:産まない権利と産む権利〜生殖医療のもたらす可能性と限界〜
7:臨床試験はどうあるべきか〜被験者・患者のおかれる立場〜
8:医学と戦争〜いま、医学界に問われていること〜
9:在宅医療〜生命倫理から考える〜
10:死と医療〜医療人類学からの提言〜

中身が濃く、僕の知識不足も相俟って消化不良ばっちりな状態ですが、この場では第4講臓器移植とヒト革命からキーワードをピックアップしてみたいと思います。



粟屋剛
臓器移植は人間の改造や利用の出発点であるという考え方を中核とする「ヒト革命」という仮説を研究している

現代医療は市場経済、資本主義経済下にある
・医師も病院も製薬会社も臓器ブローカーも利益を追求しているが、資本主義経済を前提にする限り、非難に値する事ではない。

移植医療の問題 
・移植医療が強力に推進されるならば医療全体がパニックに陥る
・移植は善、売買は悪というのは固定観念。臓器移植はカニバリズム(人肉食)の要素を持っているし、臓器売買によって助かる命もある。

移植カニバリズム論
・レストランでビーフステーキを食べる事に何の疑問も抱かない。しかし、牛に直接かぶりつくならば、それは狂気といえるし、人間が人間の生き血を飲み、猛獣のように内蔵を食する事は狂気を超えている。だが輸血や臓器移植の形で臓器や血液を摂取しても誰も避難はしない。この両者は本質においてどこが違うのか?
・臓器移植は別な見方をすればそれは「共生」である。この「共生」の思想は臓器リサイクルの思想に結びつく

 粟屋氏は医療テクノロジーによる人間改革の総体を「ヒト革命」と呼んでいる。これは一言で言うと、「テクノロジーが人間を変える」ということ。これは人体の商品化、脳移植、クローンなどがヒト革命に寄与するとしている。この講義中では、人間の改造・利用および人体の商品化について以下述べている。

 人間の改造はトータルとしての人間の改造と人体の改造にわける事ができる。トータルとしての人間の改造の例として、優勢学的改造がある。これは遺伝的障害を持つ胎児の中絶やノーベル賞受賞者の精子による人工授精などがある。
 人体の改造の例としては、臓器・組織の移植や人体の人工化が挙げられる。この人体の改造というのは昔から世界中で行われてきたものである。

・・・あ〜〜〜〜〜〜!!長い!!面倒くさい!!
以下手抜き
・脳死身体の各種利用(医学生の実習、血液や臓器の貯蔵庫、ホルモンや抗体の製造)
・脳死身体からの臓器移植は許されるが、各種利用は許されないと言えるのか?
・ネオ・カニバリズム(未来社会における人肉の加工食品としての利用)
・人肉を錠剤あるいはカプセルにしたもの(無味無臭)を服用することと、自分で牛を殺して解体してステーキにして食べることと、どちらがより心理的抵抗が大きいかという問いに、回答者がほぼ半々に別れた
・現在でも人体の一部からできている医薬品はある
・人体の利用は大昔からあった
・人体は臓器以外の組織も商品となる
・移植医療が推進されればされるほど、人体は医療資源としての性格を持つようになる

etc...
 
by massy298 | 2005-01-20 22:46 | \/\・レビュー・\/\